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院長コラム

顔のタルミ治療 ~まず原因を見極める~2025.11.5

こんにちは。Skinfinity Clinic院長の橋本です。

鏡を見て「なんとなく輪郭がぼやけてきた」「フェイスラインが重たく感じる」と思う瞬間はありませんか?

「顔がたるんだ」と表現されることの多いこれらの症状は、顔の様々な層で構造が変化することによって生じています。

これらの顔のたるみには、主に以下のような加齢変化が関係しています。

  1. 皮膚(真皮)の老化
  2. 皮膚を支える皮下組織や支持靱帯のゆるみ
  3. 脂肪の減少や萎縮
  4. 顔面骨の加齢による変化

これらはそれぞれ異なる層・メカニズムで進行するため、「タルミが気になるならこのマシンが良い」という簡単なものではなく、その人それぞれの原因となっている層に合わせたアプローチが必要です。

 

1. 真皮の老化 ~ ハリを失う皮膚へのアプローチ~

年齢とともに真皮のコラーゲンやエラスチンが減少し、皮膚そのものの弾力が低下します。その結果、表面のハリがなくなり、重力に抗えなくなって「たるみ」の初期サインが現れます。真皮が加齢によってどのように変化していくのかという部分の関しては、細かく分析すると非常に奥の深い領域です。ただ単に「コラーゲンを増やせばよい」というものでもなく、弾力以外の肌の機能面を保つためにも肌本来のコラーゲンの種類やエラスチン等の存在なども重要です。

スネコス・パフォルマという肌育製剤はその視点に立って長くに渡って研究されて開発された製剤で、この視点の重要性については私も各学会等で1時間近くお時間を頂戴して講演でお話している内容です。違和感のない自然な若返りを追求するには大変重要な考え方ですので、機会があればこの点にフォーカスを当てて深くお話させて頂きたいと思います。

当院では真皮の弾力低下や加齢変化に対して、ソフウェーブやスネコスをはじめとした肌育系の注射製剤、コラーゲンブースター製剤を併用したダーマペン4などを用いて治療を行っています。

★ソフウェーブによる高密度超音波で真皮層に熱刺激を与え、コラーゲン再生を促します。施術技術によって大きく効果の差が出るマシンであるのに加え、不十分な知識での照射は熱傷リスクのあるマシンですので、当院では看護師施術ではなく全例で私が照射しております。

★肌育注射は当院ではスネコスパフォルマを適宜使用し、PCL成分のコラーゲンブースターをより均一に真皮内部に入れ込むことができるダーマペン4を使用することもあります。長期的に線維芽細胞を活性化し、内側から肌質とハリを改善します。

これらは「皮膚そのものを若返らせる」ための治療です。

2. 皮下組織や靱帯のゆるみ  ~支える力を取り戻す~

真皮の下には、皮膚を支える皮下組織(SMAS層を含む)があり、これが緩むことで輪郭のもたつきが目立ちます。この層の緩みには、「引き締め系の施術」や糸リフト(スレッドリフト)が効果的です。また、この層の若返りに有効な肌育系製剤のジャルプロスーパーハイドロも有効です。

当院ではこの層をピンポイントで的確に引き締めることが可能なウルトラフォーマーMPTというマシンをよく用います。サーマクールの特許切れ以降、同様の形状のモノポーラーRFと呼ばれる機種がここ1~2年で続々と登場しましたが、これらのマシンは表層から深い脂肪層まで一気にエネルギーが作用してしまってむしろ必要な層のみへの狙い撃ちは困難です。むしろ、加齢とともに減少しやすい脂肪層のボリューム減少に対するリスクを回避することが難しい構造ですので、30~40代以降でタルミの気になっている方に当院では積極的に用いることはありません。

ハイフ系のマシンが頬のコケ感を作り出してしまうという情報があるようですが、私はこれは単なる施術者の問題であると考えています。むしろ脂肪層に影響を与えず的確に皮膚および皮下組織を引き締めるデザインがしやすいのがハイフ系マシンだと考えています。手術や注射系治療と同様に、知識と技術を持った医師が照射すべきなのです。

より明確なリフトアップを希望する場合には、スレッドリフト(糸によるリフトアップ)で物理的に支えを補強します。これは必要な方向性に引き上げられて直後から効果を実感しやすいという点も魅力的ですが、その後のコラーゲン造成効果により弱まった皮下組織を強化することで、その後のタルミ予防効果は高く出すことができるという点も大きなメリットです。

タルミ治療というのは直後だけよければよいというものではなく、長い人生その後においても悪影響のない治療を心がけることが大変重要だと思っています。当院にはすでに10年以上前から私がスレッドリフトにてタルミ治療を行ってきた方も多くいらっしゃいます。やはりスレッドリフトのタルミ予防効果は非常に強いですし、それを意識したデザインでスレッドリフトは行わなければなりません。

★ウルトラフォーマーMPT(HIFU)で皮下深部に熱刺激を与え、筋膜や皮下組織を引き締めます。このマシンもデザインが重要ですし、不十分な知識の者が照射を行うと火傷や頬がコケてしまうというような悪影響もでてしまうマシンです。正しく使用する分には非常に有能なマシンですので、すべての例で医師施術を行っております。

3. 脂肪の減少・萎縮  ~ボリューム減少を補う~

加齢とともに、顔の脂肪は単に「下がる」だけでなく、「減る」・「萎縮する」という変化も起こります。これにより、頬がこけてやつれた印象になるばかりでなく、タルミの症状を強めてほうれい線・マリオネットラインの影が強く見えるようになります。

この症状を改善するには的確に失われたボリュームを失われた量だけ補います。ここまでお話したように、加齢変化というのは様々な現象が起こっておりますので、シワがなくなるまでボリュームを入れ続けることに固執したり、満足いくところまで引きあがるまでボリュームをいれることをゴールにすると本来のご自身のボリュームを越えてしまします。

ボリュームを的確に補う最も安全な治療は脂肪注入ではなくヒアルロン酸ですので、部位ごとに適切な種類のヒアルロン酸を注射して、ボリュームと輪郭のバランスを整えます。不自然な仕上がりになることはありません。「減った位置に減った量だけ補う」というのは言うのは簡単ですが、多くの経験とセンスを要する治療です。

4.顔面骨の加齢による変化(萎縮)

顔面の骨も加齢により変化することが経時的に研究されたCT画像でも明らかになっています。具体的には目の周りの骨の形状が変化したり、頬骨の立体感が損なわれたりすることが起こります。骨のボリュームを簡単に補うことは難しいですが、その表面のボリュームを補うことで本来の形状を保つことも可能で、この場合にもヒアルロン酸を用います。

ここ10年近く、海外のヒアルロン酸のメーカーは日本国内の医師向けにセミナーを積極的に開いて、この骨萎縮に対する注入法として広く推奨してきました。私の経験上、白人よりも我々黄色人種は特に目周りおよび頬骨の骨萎縮は程度として少ないです。海外で推奨されている注入法や注入量をそのまま日本人に応用してしまうと、以前の顔の形とは違う印象になりやすいので注意が必要です。

当院ではこの点を念頭に置きながら、的確に必要な人のみにボリュームを補う治療を検討します。

まとめ —— 「自分のたるみの原因」を正確に知ることが第一歩

たるみ治療は、「どのマシンがいいか」を選ぶことから始まるのではありません。まず大切なのは、「自分のたるみがどの層の変化によって起こっているのか」を正確に判断することです。顔の構造と変化の層を理解し、それぞれに合った治療を組み合わせることで自然で美しい若返りが可能になりますが、これらの作業は専門家である我々にお任せください。現状を把握し、最適な治療計画をお伝えします。