スキンフィニティクリニック医師の門沙央理です。本日はご質問の多いフォトフェイシャルについてお話しします。
フォトフェイシャル(IPL)は、皮膚に存在するシミや赤みといった色素に反応し、選択的に熱ダメージを与える光治療です。照射される光は非常に短いパルスで発せられるため、表皮自体は大きなダメージを受けずに、ターゲットとなる色素だけを破壊することができます。
レーザー治療が「スポット照射」で濃く大きめのシミをピンポイントに狙うのに対して、フォトフェイシャルは「全顔照射」が基本です。そのため、細かく散在するシミや顔全体の赤みを、ザーッと均一に減らしていけるのが大きなメリットです。
さらに、フォトフェイシャルの熱の作用は色素を壊すだけではありません。熱による軽い刺激がきっかけとなり(温熱作用)、コラーゲンやエラスチンといった肌のハリを支える成分の産生が促進されます。これにより新しいコラーゲンが増え、肌の質感やなめらかさの改善にもつながります。
当院で扱っているフォトフェイシャルは、ルメッカ(LUMECCA)とステラM22(Stellar M22)です。
フォトフェイシャルはレーザーと違い、様々な波長の成分を含んでいますが、ルメッカは、メラニンやヘモグロビンに非常に反応の良い、500nm付近の波長成分を多く出すことが可能です。さらにルメッカは、この高性能な光をわずか1ミリ秒という非常に短い時間で、最大30ジュールという強力なエネルギーを一気に届けることができます。短時間で大きなパワーを集中させることで、シミや赤みに対して効率よく反応させることができます。
したがって、他のフォトフェイシャルでは反応しにくかった薄いシミや赤みにも有効で、まさに“切れ味がよい”と表現できるほど、反応性に優れているのが特長です。
左:施術前 右:ルメッカ1回照射後
ただし、切れ味がよい分、肝斑リスクのある方や、肌色が濃い方には適していません。
一方、ステラM22は多数フィルターが搭載されており、設定を変えることで深達度を細かく調整できることが特徴です。つまり短波長成分を抑えることが可能であり、肝斑がある方や肌色が濃い方にも調節して照射できます。
また波長を長くして深達度を高めることで皮膚深部まで光が届き、真皮における温熱作用がより強く働き、コラーゲンやエラスチンの産生が促される“真皮リモデリング”効果につながります。
当院ではメンテナンスとしてM22を何十回と継続している方もいらっしゃいますが、
・シミや赤みが抑えられ、肌トーンが長期間、均一に保たれている
・シワ治療をしていないのにもかかわらず、小じわが少なくハリがある
といった変化がみられます。このように、フォトフェイシャルは肌トーンの改善・維持に加え、温熱作用によるハリや小じわ改善の両面から効果を発揮します。
フォトフェイシャルの温熱作用は、主に真皮のコラーゲンやエラスチンを増やす真皮リモデリングが中心です。ただしその過程で基底層の細胞活動も促されるため、表皮のターンオーバーが整いやすくなり、角質層や肌全体の調子が改善する可能性があります。この表皮リモデリングに対するエビデンスは乏しいものの、臨床的には「メイクのノリが良くなった」と実感される方も多く、肌質改善の一端を示唆する変化といえます。
当院では初診時に、シミの種類・分布・肌質を丁寧に診察し、まずフォトフェイシャルが適応かどうかを判断します。そのうえで、細かいシミが主体の方にはルメッカを、肝斑がある方や肌色が濃い方、あるいはメンテナンスを重視される方にはM22を選択するなど、お一人おひとりに最適な方法をご提案しています。治療の経過に応じてルメッカからM22へ切り替えるなど、柔軟な調整も行っています。
お肌のメンテナンスとしてフォトフェイシャルを継続するのはとても有効です。ただし、こちらのコラムにも書きましたが、シミが気になる方で変化がみられない場合に漫然と続けることは適切ではありません。そのような場合には、フォトフェイシャル以外のアプローチを適宜ご提案します。
このように、その時々のシミの状態に応じて機械を選び、必要に応じて治療法を切り替えたり、照射中もシミの反応を見ながらショット数や出力を細かく調整できるのは、医師による施術だからこそ可能なことです。当院のフォトフェイシャルは、すべて医師が直接施術を行っております。