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ドクターコラム

目元のシミ治療2025.9.15

スキンフィニティクリニック医師の門沙央理です。

シミ治療をしていて、目の下から頬骨の上にかけての色素斑は、他部位に比べて治療に難渋することが少なくありません。これは、解剖学的背景から説明できます。

1. 解剖学的背景と治療上の影響

このように眼周囲は解剖学的に「基底膜が壊れやすく、シミのもととなる色素が真皮に沈着しやすい」という特徴を持っています。そのため、色素斑が難治化しやすい部位であり、治療反応が鈍いことが多いです。さらに、表皮に色素がとどまっている場合であっても、皮膚が薄いためわずかな色素でもシミとして目立つ一方で、色素量が少ない分レーザー反応は弱く、「薄いのに取りにくい」という難しさを伴います。そのため、他の部位以上に慎重な治療戦略が必要になります。

2. 治療

スポット照射の限界
ピコスポットなどの単発レーザーは、表層のシミには効果的ですが、真皮に落ち込んだ色素は十分に除去できないことがあります。そのため薄くなるが完全には取り切れない場合もあります。
また、表層にとどまるシミであっても、実際の色素量が少ない薄いシミではレーザーの反応が乏しく、思ったほど効果が得られないことがあります。

トーニングの役割
通常の1064nmトーニングは深達度が高く、真皮にある色素に少しずつアプローチできる点が特徴です。
繰り返し行うことで、PIHリスクを抑えつつ、深い層にある色素を徐々に減らすことができます。かつ表層の薄い色素にもある程度反応します。
眼周囲のように刺激に弱い部位では、安全性と効果の両立に適した方法といえます。

3. 当院での工夫

基底膜へのアプローチ:シルファーム

・シルファームはマイクロニードルRFを用いて基底膜の修復・安定化を図る治療です。
・基底膜を整えることで、色素が真皮に落ち込みにくい環境を作り、再沈着や再発の予防につながります。

表皮の薄いシミ+真皮に落ち込んだ色素へのアプローチ:デュアルトーニング

なお、眼周囲のシミには肝斑が混在しているケースも少なくありません。肝斑も要因には違いがあるものの、同じく基底膜の損傷から真皮に色素が落ち込む病態です。そのため、基底膜へのアプローチや弱めの出力の照射を組み合わせることは、両者に配慮した治療につながります。

4. 外用療法

外用療法は、レーザーで反応しにくい表皮の薄いシミに効果を発揮するだけでなく、新しい色素の沈着を防ぎ、治療効果を長く維持することにもつながります。
当院ではこうした外用療法を、レーザーやシルファームと組み合わせて積極的に取り入れています。
美白外用薬として、ルシノール、システアミン、ビタミンC、ハイドロキノン、トラネキサム酸などを取り扱っていますが、その中でも、ルシノールとシステアミンは、効果が高い一方で副作用が比較的少なく、デリケートな目周りにも安全に使用できる点が大きな特徴です。さらに純粋な『生のビタミンC』も強力な美白作用を持ち、適切に取り入れることでデリケートな目周りのシミやくすみにも有効に働きかけることができます。

システアミン(シスペラオリジナルプラス®)

シスペラオリジナルプラスは、近年注目されている最新の美白外用薬です。
主成分のシステアミンは、シミのもととなる色素をつくる複数の経路を同時に抑えるとともに、抗酸化作用で炎症や酸化ストレスによる悪化も防ぎます。さらに、新しく配合されたアイソバイオニックアミドが赤みや刺激を抑え、色素沈着を防ぐ働きを補強します
その結果、従来のシスペラで課題とされていた特有のにおいや刺激感が改良され、続けやすく進化した処方になっています。効果と安全性のバランスが良いため、目周りの特に表皮にとどまる薄いシミにも適した美白剤といえます。

ルシノール(ダイブ ブライトセラム®)


ルシノールは、色素を作り出す酵素の働きを強力にブロックします。ハイドロキノンの約100倍の作用があるとされながら、細胞にダメージを与えないため、長期間でも安心して使える安全性の高い美白剤です。強い薬にありがちな赤みや白斑のリスクも少なく、デリケートな目周りにも適しています。

ビタミンC(DRX®VCコンセントレート15b)

当院では、シミやくすみの改善に欠かせない成分としてビタミンCも積極的に取り入れています。
採用しているロート製薬のビタミンC製剤は、独自の高浸透技術によりその効果を最大限に引き出せるよう設計されています。あえてビタミンC誘導体ではなく、純粋な「生のビタミンC(L-アスコルビン酸)」を安定配合することで、肌に直接届きやすいため、特に表皮にとどまる薄いシミやくすみにしっかり作用します。詳細については別のコラムで改めてご紹介いたします。

これらの外用療法をレーザーやシルファームと組み合わせることで、すでにある色素を減らす治療新しい色素を作らせないケアを両立し、より安定した改善が期待できます。

5. まとめ

目元は皮膚が薄く、色素が真皮に沈着しやすいため、シミが難治化しやすい部位です。表層の色素であっても「薄いのに取りにくい」という特徴があり、他の部位とは異なる慎重な対応が必要となります。
当院ではシルファームによる基底膜へのアプローチ、532nm DOEと1064nmトーニングを組み合わせたデュアルトーニング、さらに安全性の高い外用療法を組み合わせることで、目元特有のシミに対して総合的に治療を行っています。