当院では治りにくいにきびに対する治療手段として、日本のガイドラインにも記載されている漢方薬を積極的に用いています。西洋医学的な治療である塗り薬で改善しにくい場合や、 塗り薬が合わない場合、 抗菌薬の長期内服を避けたい場合など、 治りにくいニキビに対する治療手段として、 漢方薬は優れた選択肢になります。 その場合、 西洋医学的な治療を行いながら必要に応じて漢方治療を併用する方法や、 漢方治療を基本としながら、 ひどくなった時だけ抗菌薬を併用する方法もあります。
漢方では、皮膚に現れる症状を直接抑える治療を「標治」、症状の根本的な原因や体質に働きかけて、再発しにくい身体をつくる治療を「本治」と区別します。
にきびなどの皮膚の炎症は、標治では「熱」があると捉え、それを鎮める「清熱剤」を用います。一方、本治では、血行不良や月経に伴う悪化など全身の状態を見極め、「瘀血(おけつ)」があると考えられる場合には、「駆瘀血剤」などを用いて、体内の巡りを整え、体質の改善を図ります。
特ににきびでは、炎症によって毛穴周囲の組織が損傷し、血流が滞ることで老廃物がたまりやすくなり、炎症の長期化や色素沈着の一因となります。駆瘀血剤はこのような巡りの悪さを整え、にきびの慢性化を防ぎやすい体質づくりに役立ちます。