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ドクターコラム

赤みに対するレーザー治療の違い2025.10.27

スキンフィニティクリニック医師の門沙央理です。

顔の赤みに対するレーザーの種類は色々あります。当院では赤みに対してはブルーレーザー(450 nm)を用いていますが、Vbeam(Dye 595 nm)やジェネシス(Nd:YAG 1064 nm)との違いを日々の診療でもご質問をいただくことが多いため、このコラムで整理してみます。

◆ 赤みに効く波長と深達度の違い

下の図は、血液中のヘモグロビンが光をどの波長で強く吸収するかを示しています。
ブルーレーザー(450 nm)、Vbeam(595 nm)、ジェネシス(1064 nm)は、いずれもヘモグロビンによく吸収される波長を用いた『赤みに効くレーザー』です。
図の通り、その中でも450 nmはヘモグロビンへの吸収が最も強い波長です。

波長が短い光ほど、皮膚の浅い層にしっかり吸収されます。一方で波長が長くなるほど、皮膚を透過しやすく、より深い層まで到達します。
したがって、450 nmのブルーレーザーは表皮直下〜真皮乳頭の浅い赤みに、595 nmのVbeamは真皮中層の太い血管に作用し、1064 nmのジェネシスは真皮深部を穏やかに加熱して血流を整えます。

◆ 赤みの深さとブルーレーザーの適応

赤みには、にきび跡やレーザー照射後の赤み(炎症後紅斑)、酒さのようなぼわっとした浅い赤みから、線状に見える毛細血管拡張まで、さまざまなタイプがあります。
これらは血管の存在する深さによって生じるため、波長によって反応しやすい層が異なります。

炎症後紅斑や酒さの浅い赤みは、皮膚のごく浅い部分にある血管の拡張によって生じます。したがって、この浅い層にしっかり吸収されるブルーレーザーが、理論的にも最も効果的です。

左:before 他院レーザー(ピコハイVMLAフラクショナル)後の炎症後紅斑/右:ブルーレーザーkado法3回治療3か月後

一方、皮膚のやや深い層にある太い血管や深在性血管腫など、中層〜深層の血管が主因となる赤みでは、Vbeamのようなレーザーが適しています。
ジェネシスはむしろ、血管を直接狙うというより、真皮全体を穏やかに加熱し、血管反応性や血流動態を安定化させることで、炎症や温度刺激によって赤みが生じにくい肌環境を整えます。

それぞれに得意な深さがありますが、実際の臨床では顔の赤みの多くが浅い層に存在するため、ブルーレーザーで十分な改善が得られています。

万が一、ブルーレーザーで改善しにくい場合には、血管の深さが想定より深いケースもありますが、酒さ特有の神経血管性炎症といった血管以外の要素が関係していることもあります。
この点については、こちらのコラムでも詳しく解説していますが、そのような場合は、神経の過敏性や血管反応を抑える外用・内服治療、あるいはスキンボトックスなどを併用することで、より安定した赤みの改善が期待できます。

◆まとめ

赤みに用いるレーザーは、波長によって届く深さと作用が異なります。
ブルーレーザー(450 nm)は浅い血管に最も反応し、炎症後紅斑や酒さの赤みに最適です。Vbeam(595 nm)は中層の太い血管に、ジェネシス(1064 nm)は深部の血流調整や肌質改善に適応します。
赤みの多くは浅い層が原因であるため、ブルーレーザーでの治療は特に試す価値があります。