スキンフィニティクリニック医師の門沙央理です。
紫外線が落ち着くこれからの時期は、シミ治療を始めるのに最適な季節とよく言われ、そのようなイメージもあると思います。では、なぜ秋冬がシミ治療に適しているのかを解説していきます。
フォトフェイシャル(IPL)やレーザーはシミ治療の代表であり、シミの改善に大きく寄与します。しかし、照射直後のお肌は見た目には大きなダメージがなくても、内部ではごく軽い炎症(微小炎症)が起きています。
そのため、一時的に皮膚の「バリア機能」が弱まり、紫外線や摩擦などの外的刺激に敏感になりやすい状態になります。この状態では、炎症後色素沈着、紅斑、肌の回復が遅れるリスクが高まります。
このため、治療後すぐから日焼け止めによる保護などの紫外線対策がとても大切です。
紫外線は季節によって大きく変動します。
特にシミの原因になる、UV-Bは7〜8月に最も強くなり、夏と冬を比べるとその量は5〜6倍に達します。理論的には、十分な紫外線防御ができれば夏季の治療も可能ですが、実際には日常生活の中で完全に防ぐのは容易ではありません。
そのため、紫外線量が落ち着いている秋から冬は、シミ治療を始めるのにより適した季節といえます。夏季と比べて、施術後に生じやすい 炎症後色素沈着や紅斑のリスクをより低減し、肌の回復もスムーズに進めやすい季節だからです。
実際、近年の文献レビューでも、IPLやレーザー後に適切に日焼け止めを使用した患者は、炎症後色素沈着の発生率が低く、回復も早いことが報告されています。こうした研究結果からも、秋冬という紫外線量が少ない時期に治療を始めるメリットが裏付けられています。
一方で、UV-Aは年間を通じて安定して降り注いでおり、冬でも皮膚老化(シワやたるみ)の原因となります。そのため、秋冬であっても日焼け止めの使用をおすすめします。
紫外線が穏やかな秋冬は、治療後のリスクを抑えつつシミ改善を進めやすい最適なタイミングです。この季節から治療を始めることで、より安全に効果を実感していただけると思います。
参考文献
1) Lee KWA, et al. Importance of Using Sunscreen after Light or Laser Facial Treatment: A Literature Review. Life (Basel). 2025;15(2):1484.
2) 佐々木 政子. 太陽紫外線を巡る今日的課題. 環境と健康. 2010;23(3):320-334.