シミや肝斑などをターゲットとしたレーザー治療は、従来のナノ秒レーザーの全盛の時 代から非常に短時間で発射されるピコ秒レーザーが主流となりました。どの程度の短時間でレーザーが発射されるのかを示すのが『パルス幅』と呼ばれる数値で、この数値がピコ秒(1兆分の1秒)単位のものが一般的にピコ秒レーザーと呼ばれています。この数値は短ければ短い程、ターゲットとなる構造の周辺に余分な熱による悪影響などが生じず、赤みや腫れなどのダウンタイムや色素沈着などの副作用の影響を最小限に抑えながらシミやくすみの原因となるメラニンなどを的確に処理することが可能となります。
パルス幅を可能な限り短くしながらも安定して高いエネルギーをレーザーとして発振させるのは技術的には難しく、300ピコ秒よりも短いパルス幅を安定して出すことがマシンは非常に限られています。当院ではこれまでもパルス幅が国内で流通しているピコ秒レーザーの中で最も短いピコウェイ(PicoWay)を使用して良好な結果を得てきました。
これまでのどのピコレーザーよりも短いパルス幅を持ちながら、より高いピークパワーを非常に安定して出すことができる高性能ピコレーザーとして『ピコハイ(PICOHI)』が新たに登場し、アメリカFDAの承認を取得しました。275ピコ秒というパルス幅は2023年9月現在で世界最短のパルス幅で、これまで国内最短パルス幅のピコウェイの294ピコ秒を大きく上回りました。それに加え、その短い時間で出すことができる最大のピークパワーもピコウェイを上回るスペックを誇っています。1ショット毎のわずかな出力の誤差もほとんどない精度の高さも実現しています。これによってより赤みや色素沈着といった副作用はより少なく、さらに高い効果を発揮できるように進化しています。
ピコハイには数多くの照射モードが搭載されています。6種類ものハンドピースを備え、532nmと1064nmの2種類の波長が使用可能です。
さらに特筆すべきはレーザーを細かくドット状に照射して肌質の改善を図るピコフラクショナルレーザーの種類の多彩さです。限りなく均一にすべてのドットが照射されるDOEモードタイプのピコフラクショナルに加え、焦点の深さを4段階で自由に設定できるVMLAハンドピースは他にはない大きな特徴の一つです。症状に合わせて標的とする層を的確に反応させることが可能です。
ピコハイフラクショナルレーザーを照射された皮膚内部では、他のピコレーザーと比べても非常に均一かつ細かな空胞形成が起こり、皮膚のターンオーバー促進や真皮内のコラーゲンやエラスチン増加等を効率よく起こすことが可能です。
高性能なピコハイを用いた肝斑やくすみに対してのトーニング治療を『ピコハイトーニング』と当院が命名しました。さらに、このピコハイトーニングに加え、532nmの波長をDOEという非常に均一なドット状に照射するモードの同日同時照射を行うことでより奥から透き通るような透明感と、ハリのある毛穴の目立ちにくい肌づくりを目指す『ピコハイ・デュアルトーニング』と名付けて治療を開始しました。
毛穴や小じわ、ニキビ痕といった肌質改善に特化した場合にはフラクショナルハンドピースの中でも532nmDOEや1064nmDOE、VMLAやZMLAなどの様々なフラクショナルハンドピースを症状や目的に合わせて使い分けていきます。ダウンタイムを抑えながらも、高い効果を狙った治療が可能です。 重度のニキビ痕などや効果を重視した治療を狙った照射も可能ですので、ご都合に合わせて照射法を決定していきます。
最短のパルス幅と高いピークパワーによって、これまでのどのピコ秒レーザーよりもレーザーの衝撃によってメラニンを細かく粉砕して処理が行われます。組織内に発生する空胞形成(LIOB)も細かく均一に発生するため、肌の生まれ変わりが極めてスムーズに行われます。これにより、高いシミ治療効果と副作用軽減が同時に得られます。
他のレーザーピコハイ
レーザー照射部位の電子顕微鏡写真を見ても、ターゲット周辺の組織への無駄なダメージが大幅に軽減されていることがわかります。
ピコハイレーザーのすべてのスペックを総動員して、症状に合わせて照射を行う「スキンフィニティフェイシャル」はシミくすみ、肌質改善治療の最高峰です。これには以下の照射が含まれ、すべて医師が照射を行います。